砂漠の夜の幻想奇談
さて、喉を水で潤しながらも地味な作業を続ける三人。
もくもくと文書を読んでは棚に戻すのを繰り返す。
「王様、そろそろ通常の政務に戻られた方がよろしいのでは?」
「よろしくない。まだ何も見つかってない」
「兄上、ここは僕達に任せて下さい。王様の仕事は兄上にしかできないんですから」
尤(モット)もなことを言った弟にシャールカーンは「うっ」と言葉を詰まらせる。
「よくぞおっしゃって下さいました、カンマカーン王子。もっと言ってやって下さい」
「バルマキー、お前は誰の側近なんだ?ん?」
「貴方様ですが、だからこそカンマカーン王子のお言葉に激しく同意致します」
シャールカーンは「参った」と言わんばかりに溜息をついた。
どうやらここに自分の味方はいないらしい。
「わかった。政務所へ行くよ。何か進展があったら知らせてくれ」
「御意」