砂漠の夜の幻想奇談
渋々出て行った兄を見送ってから、カンマカーンはバルマキーに向き直った。
「ねえ、バルマキー。軍事資料室の方へ行って来てもいい?」
「軍事資料室?あそこには軍関係の文書しかございませんが…」
「どこにあるかわからないから、調べておくに越したことはないと思うんだけど…ダメかな?」
自信なさ気な王子をちらりと見て、顎に手をやるバルマキー。
「ふむ…。おっしゃる通りです。ではお願い致します。私はこちらで調べを続けますので」
考えを認めたら、カンマカーンはパアッと顔を輝かせた。
「うん!ありがとうバルマキー!行ってくるっ」
こうしてカンマカーンも文書庫から出て行った。
軍事資料室はここから少し離れている。
文書庫は政務所と近いが、軍事資料室は廊下を進んださらに奥にあるのだ。