砂漠の夜の幻想奇談
「兄上っ!兄上~!!シャール兄上!!」
我に返ったカンマカーンはバハラマーンを資料室に残し廊下を走った。
腕に抱えているものは例の報告書。
紙一枚かと思いきや、報告書は軽く十を超えていた。
全てを持って兄のいる政務所へ飛び込む。
が、なんと王様は不在。
「兄上…!早く報告したいのにっ」
どこに行ったのかわからず廊下をウロウロしていたら、前方から大臣ダンダーンがやって来た。
「おや、カンマカーン王子」
「あ!ダンダーン!丁度良かった!兄上の居場所を知ってる!?」
荒い息の王子を見つめ、ダンダーンは口をへの字にする。
「王様ならつい先程、私に仕事を押し付けて居室の方へ参られました」
「え…兄上…」
「なんでも、第一王子に関する報告書が王の居室にないか探すとか…」