砂漠の夜の幻想奇談


「ま………てっ…!」


震える手でギュッとアフマードの足首を掴む。

行かせまい。

カンマカーンの目が血走る。


「それ…を……おい、て……けっ…!」


「ひっ!!」


慌てたアフマードはカンマカーンの顔を蹴りつけた。

唇が切れ、血がたれる。

しかし、王子は敵を放さなかった。

逆に両腕でガッチリとアフマードの足にしがみつく。


「おいっ、てけぇえ…!!!!!」


「やめろ!!放せぇ!!」


「はな、す…も……かっ!きさ、まはっ…おうけを…ブジョクした!ユルサナイ!!ゼッタイに、ユルサナイ!!!!!!!」


王族の血筋でない人間を王位につけようとした罪。

王家の血筋に対する侮辱。

そして…。


(シャール兄上の喜びを踏みにじった罪!!!!)



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