砂漠の夜の幻想奇談

言葉など信じない。

シャールカーンはアフマードの腰に下がっている剣を抜いた。

「見ろ!!これは誰の血だ!?」

刃にはまだ新しい赤い血が付着していた。

それを見せつけ、王は罪人を追い詰める。

「し、仕方なかったのです!先に王子が私をっ…!」

「貴様っ!これ以上嘘を重ねる気か!!カンは自分から他人を傷つける真似はしない!!」

床にへたりこんでいるアフマードに対し、シャールカーンは弟の血が付いた刃を振り上げた。

「カンの痛み!!思い知れ!!!!!」

「ひぃいい!!!!お、お助けをっ!!」

可愛い弟を殺されて容赦などしない。

まさにシャールカーンが神の鉄槌を下そうとした丁度その時。

「王様!!お待ち下され!」

侍女に呼ばれた医官がバタバタと駆け付けた。


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