砂漠の夜の幻想奇談
それから兵を呼び、アフマードの身柄を拘束させる。
この時、シャールカーンは初めて床に散らばる報告書に気づいた。
「ん…?なんだ…?」
アフマードの腕に抱えられていたはずのそれらは、カンマカーンが彼を刺した際に全て腕から落ちていた。
拾い集め、目を通す。
「これはっ!報告書か!」
シャールカーンは弟がアフマードともみ合った原因を察した。
「カン……これを守るために…」
報告書をギュッと握り締め、横たわるカンマカーンの傍にしゃがみ込む。
「ありがとう、カン。お前の命、無駄にはしない…!」
亡き弟の前で、神に誓う。
「アッラーにかけて!これを使って、必ず奴らの罪を暴いてみせる!」
青き瞳は復讐に燃え、嘆きの涙は頬を伝った。