砂漠の夜の幻想奇談
「うわ~!マジですか、これ!」
「……こんなものが…」
カシェルダの表情をちらりと見て、シャールカーンは探るように確認する。
「カシェルダ、その報告書はお前と同じ名前の人間によるものだ。親戚か何かか?」
報告書の隅に記された名前を見遣ると、カシェルダは落ち着いた声で否定した。
「……いや。赤の他人だ」
「そうか」
特に何かを期待していたわけではないため、それ以上は尋ねない。
躊躇いがちな動作でカシェルダは王の机に報告書を置いた。
普段、きびきびしている彼らしくない動きであった。