砂漠の夜の幻想奇談
第一話:王家の事情


 それはヨーロッパに東ローマ帝国があった遠い時代のこと。

現代のトルコにあるイスタンブールと呼ばれる町は、当時コンスタンチノープルとして栄えていた。

東ローマ帝国の首都コンスタンチノープル。

そこはキリスト教徒の国で、アフリドニオス王が支配していた。



さて、この王様にはお妃様が一人いて、なんと十二人も子供を生んだ。

けれど、全て息子。

女の子は一人もいなかった。


「ハァ…女の子がほしいわ」


それが王妃様の口癖だった。

そう、あの寒い冬の日も彼女は王宮の窓辺に寄り掛かり、雪で真っ白に染まった外庭をぼんやりと眺めながらこの口癖をこぼしていた。

「この雪のように、真っ白な肌の綺麗な女の子がほしい…」


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