砂漠の夜の幻想奇談
ブドゥールとその甥は直ぐさま囲まれ、引っ立てられた。
もう大丈夫だろうと安堵し、シャールカーンがカシェルダから離れる。
すると…。
「シャール、あいつも捕まえろ」
カシェルダがダリラを指差した。
「第一王子殺害未遂で牢にぶち込め」
恨みのこもった強烈な眼差し。
今にもダリラに斬り掛かりそうな雰囲気だ。
「ダリラ、お前は本当にダウール兄上を殺そうとしたのか?もし事実なら、誰に命じられた?……ゾバイダ王太后かい?」
なるべく穏やかにと心掛けて、やんわり尋ねるシャールカーン。
そんな王の優しさに付け込んで、ダリラは威勢よく反論した。
「濡れ衣でございます、王様!」
訴えるも、第一王子に鼻で笑われる。
「ほう…貴様、白を切るつもりか。良いだろう。ならば、ゾバイダ王太后に罪を償っていただこうか」