砂漠の夜の幻想奇談
瞬く間に広がった第一王子の噂。
「実は王妃の護衛官が…」という話題で王宮内は持ち切りだ。
そんなある日、食事をもらいに厨房を訪れたトルカシュは見てしまった。
「ちょっ…ちょっと待って下さいよ!なんで第一王子が召使と一緒に厨房でまかない貰おうとしてるんですか!?」
「ん?なぜ否定的な目で見るんだ?」
「場違いですよ!ここは貴方様が来られるところではありませんー!!」
カシェルダの背中を押して廊下へ追いやる。
「王様と同じお食事を取って下さい!」
「今まで通りにすると決めたんだ。まかないでいい」
「良かないですよ!ほら~、周りの召使を見て下さい!みんな珍獣見るような目付きでこっち見てますよ!」
「………トルカシュ、タメでいいぞ?」
「無理です!第一王子とわかった今、タメ口なんて絶対無理ですっ」