砂漠の夜の幻想奇談
見当たらない小さなお姫様を探す。
すると、ドニヤと一緒に中庭で遊んでいる彼女を見つけた。
「おや、ここにいたのかシャムス」
「しゃーる!」
愛くるしい笑顔がシャールカーンに向けられる。
「晴れた日の太陽」という名前の通り、シャムスエンナハールの笑顔は周りの人の心を温かくしてくれる。
「おいで、俺の太陽」
優しく呼べば、よろよろしながらも自分の足で歩こうと頑張るシャムス。
最近やっと歩けるようになったのだ。
「しゃ~、しゃーる!」
短い距離を歩ききって、ムギュッと抱き着いてきた。
ふわふわしたダークブラウンの髪を撫でてやれば、更に擦り寄ってくる。
「……あああっ~!もうダメだ!」
我慢ならず、シャールカーンはシャムスを抱き上げた。
「どうしてシャムスはこんなに可愛いんだい!?サフィーアか!?サフィーアの血が入っているからか!?ドニヤどう思う!?」
苦笑するしかないドニヤだった。