砂漠の夜の幻想奇談
砂漠の夜の幻想奇談
この日、十六歳を迎えた少女は母親からとんでもないことを知らされた。
「え!?私が、一週間後に結婚!?」
ダマスの街にて、貴族に生まれた彼女は同じ貴族の男性に嫁ぐよう小さい頃から言い聞かせられていた。
だから覚悟はしていたのだ。
けれど…。
「しかも四十代の男性が婚約者!?待って母上!いくら何でもそんなおじさんと結婚なんて嫌よ!」
「良い縁談なのよ。年齢差は我慢なさい」
「そんな~!あんまりだわ!」
上目遣いで見上げるも、母親から厳しい眼差しを返される。
「もう決まったことよ。我が儘は聞きませんからね」
これで話は終わったとばかりに長椅子から立ち上がる母親を見て、少女は自分の運命を悟った。