「・・・健斗・・・君?」
どうして??何で君がいるの??だって君は、あの時・・・
「・・ごめん。あんた誰??」

「!!え・・わ・・私だよ!ほら、小学生の頃、健斗君になぐさめてもらった・・」

「あ~ごめん。俺、小学生の頃の記憶ないんだわ!」

「どうして・・」

「俺、交通事故にあってさいわい命は助かったんだけど・・記憶がまったくなくなっちゃったんだ。あ!でも家族のことは、覚えてたんだ。けど、夏のある日の記憶がなくなってて。」

私と、健斗君が始めてあったときだ・・・。何でその日の記憶だけないの??どうして!せっかく逢えたと思ったのに・・こんなの、こんなのひどいよ。
そう思ったら、悲しくって私の目から一筋の涙が出た。

「!!ど・・どうした??」

「・・ッな・・なんでもないよ!!」

「何でもないのに涙なんか出るかよ!」

あはは。笑っちゃうよ。健斗君、私のこと覚えてないのに、昔と変わらずに優しく接してくれてるし。そういう優しいところが、泣けてくるんだっての!

━ポン

・・え??
その時、私は、健斗君に頭を撫でられた。

「わり。俺のせいか?ごめん。だけど、君なら大丈夫だって!」

゛君なら大丈夫”っか。小さい頃も、そうやってなぐさめてくれたね。

「はは・・・大丈夫って何が!」

「なんかわかんないけど、君なら大丈夫な気がする!」

「分けわかんねーよ。」

「だね。」

ほんと、わかんないよ。何で君が、あの日のことを忘れちゃうの?
私にとって、あの日のことは、大事な宝物だったのに。
君にとっては、忘れてもいい思い出だったの?

「あ!やべ!遅刻しちゃう!じゃあ。ほんとごめん。」

「・・うん。じゃあ。」

そういって、健斗君は私の前から去っていった。もう、あえないね。逢ったって、君は、記憶なくしてるもんね。だからもう、逢ったって意味ないもんね。

「はは。笑っちゃうよ・・どうして、記憶なくしてんだよ・・」

怒ったって、悲しんだって、君の記憶が戻ってくるわけないのに。私は、ただ感情に流されるまま泣くことしかできなかった小さな小さな私は・・。
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