━ガチャ

家の扉の前に立っていたのは・・母親だった。

「杏お帰り。」

「・・・うん。」

「今日学校楽しかった?」

「・・・」

「ねえ。杏ちゃんとお母さんと話・・・」
「ほっといて!うざいから!」

「ほっとけって言われても、ほっとけないわよ!大事な娘なんだから。」

大事な娘・・・?はは。笑わせてくれるなあーー。

「・・・じゃあ、何で父さんと離婚したの?父さんと離婚することが、娘のためだったの?」

「あれは・・・」

「言い訳なんか聞きたくない!」

━ドタドタ
バン!!

母さんの言い訳なんか聞きたくない!あの時、父さんと母さんが離婚しなかったら私の人生は変わってたかもしれないのに。なんでこう、大人って勝手なの?好きだったから、一緒に居たいから、結婚したんじゃないの?何で今になってその気持が変わっちゃうのかなあ・・・。

「もう疲れたよ・・・。また、私の居場所がなくなっちゃった・・・健斗君・・。」

悲しくって、寂しくってまた一粒狂ったように私は涙を流した。人間ってどのくらいの水分が体にあるんだろう。
私は、全てがもうどうでもよくなって、机の上においてあったカッターナイフに手をかけた。

「私が死んだら、誰か泣いてくれるのかなあ・・・・。」

そして、カッターナイフの刃の先をゆっくり血が流れてる手首に当てた。そのまま、手首に線を書くようにカッターで傷をつけた。血が一粒一粒しずくとなって床に流れ落ちる。このまま全部の血がなくなってしまえばいいのに・・・。
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