私の血は、とまることなく1滴1滴床に流れていった。
目の前がだんだんとかすれてきて、私はそこで意識をなくした。
そのとき、部屋の扉が少し開いた気がした。

「杏。さっきは、ゴメンね。・・・でも、杏ともう一回話したかったから。」

━ガチャ

「入るよ。杏?」

そこには、手首から血が流れたまま意識をなくしていた杏がいた。

「!!!!!杏!!」

誰だろう。必死に私を呼んでるのは。お母さん?・・そんなわけないか。だってお母さんわ、私のこと嫌いになっちゃったもん。



「・・・はい。ありがとうございました。」

誰?誰かの話し声で、目が覚めた。

「・・・ん。」

「・・・杏!!」

目が覚めたときには、真っ白なベットの上だった。お母さんが運んでくれたのかな?

「何で・・」

「え?」

「何で死なさせてくれなかったの!!??」

もう、辛い思いをするのはうんざりだったのに。もう、生きてても意味なかったのに・・。

━バシッ

「馬鹿!!どんなに辛いことがあっても、生きなきゃいけないの!!残された人は、どんな気持だと思う?死んだ人よりもっと悲しいんだから!」

気が付けば、お母さんにひっぱたかれていた。
そのとき気が付いたんだ。私の居場所は、ちゃんとあったって。
こんなにも、私をおもって、涙を流してくれる人がいたんだって。

「・・・ごめんなさい。ごめんなさい。」

泣きながら、必死に誤った。
どんなに誤ったって、手首の傷は消えないけど。ただただ誤ることしかできなかった。



そのとき、私は決めたんだ。どんなことがあったって、生きよう。だって、それが私にできる、せいっぱいの償いだから。
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