人魚姫の罪
「兄ちゃん。」
「ん?」
春が改まった表情で目の前に座った。
そしてなんと言うかと思えばこういった。
「海、行こう。」
思ってもない発言に戸惑った。
お袋が死んで以来、俺は海に足を運んでいないのだ。
高校の頃もみんな海ではしゃいでいたが
俺は一人、海水浴はあずけていた。
11年、濃い磯の香りは嗅いでいない。
「嫌だ」
俺はきっぱり言った。
海に行くと何かが起こってしまうようで
何かを失ってしまうようで
ただ怖かった。
「俺だって海は好きじゃねーよ。
だけどな
来年就活の誰かさんは
きっとこのまま帰ってこないで
一生嫌いってぼやいてるよ」
「ん?」
春が改まった表情で目の前に座った。
そしてなんと言うかと思えばこういった。
「海、行こう。」
思ってもない発言に戸惑った。
お袋が死んで以来、俺は海に足を運んでいないのだ。
高校の頃もみんな海ではしゃいでいたが
俺は一人、海水浴はあずけていた。
11年、濃い磯の香りは嗅いでいない。
「嫌だ」
俺はきっぱり言った。
海に行くと何かが起こってしまうようで
何かを失ってしまうようで
ただ怖かった。
「俺だって海は好きじゃねーよ。
だけどな
来年就活の誰かさんは
きっとこのまま帰ってこないで
一生嫌いってぼやいてるよ」