人魚姫の罪
「兄ちゃんおせーよ!?」

「高校生ほど元気じゃねーよ」
「はぁ?大学生に言われたくないね」
が学校のtシャツにジャージに、
だらしなくめくったジャージの裾に
砂っぽいビーサン。
茶髪が前より赤くて
ワックスで固まった頭は
俺の高校時代に似ている。

なんだか高校生が懐かしくなる。
陸上やりながら家事をこなしてたいへんだったのを覚えている。
それこそ彼女を作る暇さえもなかった。


「兄ちゃん、海、何年ぶり?」

「わかんねぇ。ざっと11年ぶりだな。」
「俺も。6歳ん時以来。
   6歳ん時みた母さんの、顔、全く覚えてねーわ」

そう笑った顔がなんだか寂しそうに見えてならなかった。


「学校、楽しいか?」

「おう!最近な、リア充になったんだぜ?」

「は?りあ、じゅ?」

「リア充だよ、リア充!しらねーのかよ」

「今のやつにはついてけねーな。」

兄ちゃんも意外どジジイだなと、笑った。
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