君がサヨナラと言ったから(短編)




「雪乃、俺…雪乃が好き…

頼むから…サヨナラなんて言わないで…」

休憩用の椅子に二人で座った時に消え入りそうな俺の声が自然と出た

気がつくと俺は涙が止まらなくなっていて…

「幸君…?
泣かないでよ…

せっかく…笑っ…て
お別れしようと…」

ボロボロと大粒の涙を流す雪乃
雪乃が泣く姿なんてさっきが初めてで…

少し驚いた

「幸君…と…お別れ…したく……っ、
ない…よぉ……」

ギュッと見た目よりもさらにか細い雪乃を強く抱きしめる

「雪乃…好き…

寝たきりでもいい…
またいくから…待ってて…?
ずっと一緒にいる…
サヨナラなんて…お別れなんて…しない」

「ありがとう…幸君…」

「目を覚ましたら、またお出かけしよう?
色んな所に連れて行くから…」

閉園の音楽が流れるまで…
ずっと抱きしめあっていた…


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