ハジマリ、合言葉

confession【告白】

一気に屋上まで駆け上ると
大声で泣いた。

一息つく。
また思い出してしまった。
好き子ができたって言ってた。
たぶん、あの子?
それとも…
はぁ、とため息を付きながら
盗み聞きのように聞いてしまったことを後悔する。
でも、好きな人の声は
勝手に耳に入ってきちゃうんだ。


こんなに好きでもダメなんだ。


ずずっと鼻をすする。
うし、と軽く気合いを入れると、回れ右をした。

教室に帰ろう。

そう思って上げようとした足が止まった。

「お、おぉ!!こんなとこでなにしてんの?」
「別、に。」

目の前には一番会いたくない人。

震える声をバレないように気をつけながら
精一杯に平然とした態度をとる。
「じゃあ。」

早く早くここから逃げないと、
涙腺が緩む。
なんで…
足が張り付いたように動かない。

限界だよ、もう

「え、なに?!どうしたの?!」
急に泣き出したあたしに
困った声が聞こえる。
あんたのせいだよ、なんて言えないし…
「ごめん、大丈夫だよ」
必死に足を地面から剥がす。
逃げたい。

「大丈夫じゃないよ。」
ふわっ、とお日さまの匂いがして
ポスッと胸に収まってしまった。
「好きな子は、ほっとけない」
「………え?」


confession


好きなんで
付き合って下さい。
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