青春謳歌
「陽菜!見つけた!!」
扉の方向を見ると最近、陽菜にまとわり付いている一ノ瀬蒼がいた。
気に入らない相手がいきなり現れて気持ちが顔に出そうになる。
何の用だ・・・?
「あ、蒼君・・・どうかした?」
「陽菜と一緒に文化祭回ろうと思ったから探してたんだ!」
ニコリと笑って陽菜の手を握る一ノ瀬。
醜い嫉妬心と独占欲が生まれる。
「あんた、何言ってるの!?
それは出来ないって陽菜が言ったでしょ?」
「確かに言われたけど・・・。
やっぱり、僕が一緒に回りたいのは陽菜だから。」
「えっと・・・。」
「いいよね、陽菜?」
一ノ瀬が圧力的に言うと陽菜は困った顔をしてチラッと俺の方を見た。
その顔を見て俺は咄嗟に陽菜の手を握る蒼の手を振り払った。