青春謳歌
「3年前の時、僕は春原先輩がバスケの練習をしているところを公園で見た。
たまたま、僕の足元に転がってきたボールを僕が先輩に渡しただけだったけど・・・僕は好きになった。
その時の僕の格好は母親が遊んでさせた女の人の格好だったから、先輩が思い出せないのも無理ないと思う。」
あの時の一ノ瀬の格好は確か・・・ロングの髪で清楚なワンピースを着ていた。
誰もが女だと思う容姿に俺は見事に騙され女だと思いこんでいた。
だから、なんなんだ・・・って話だが。
「また、この学校で出会った時・・・運命だと思ったのに先輩の周りには陽菜がいて邪魔だと思ったから近づいた。」
「ごめんね・・・。」
今にも泣きそうな顔をして言う陽菜。
どうして、陽菜が謝るんだ・・・?
それは、一ノ瀬が悪いのに・・・。
「悪いが、俺は男を好きになれない。」
俺が言い切ると一ノ瀬は酷く傷ついた顔をしていた。
何も間違ったことは言ってはいないはずなのに、俺は居心地が悪くなる。