マサハルさん
「ねえ、ばあちゃん。マサハルさんはどうやって、シズカさんと知り合ったの?」
僕は以前、ばあちゃんに聞いてみたことがある。
思春期を迎え、自分の容姿が気になり始めた頃だった。
たぶん、どこかに、異性にモテたいという願望があったのだろう。
シズカさんを射止めたマサハルさんの、その奇跡の遺伝子を受け継いでいるはずの、僕の中に眠る、逆転満塁ホームランを打てる可能性を見つけたかったのかも知れない。
奥手な僕は、マサハルさんに似て、万年補欠だった。
「そうねえ……運……だな」
「運!?」
「そう、運だよ。お前はえがったなあ……シズカさんに似てて……」
ばあちゃんはシワシワの顔をさらにくちゃくちゃにさせると、細い目をさらに細くしながら、僕を見てそう言った。