マサハルさん
「で、どうして運なの?」
「そうだなあ……そうとしか言いようがなぐでなあ……」
「ふうん……」
ばあちゃんが言う「運」というのは、その時、その場所に、二人が同時に存在していたことを言っているんだと思う。
そうでなければ、交わることのない二人。
そう言いたかったんだと思う。
だけど、二人がそうやって出会ったこと、それは、既に決められたことであり、出会ったことは必然なんだと思う。
そして、二人が離れることになっていたのも、きっと、最初から決められていたんだと思う。
「こんな感じ? 仕事に不慣れなシズカさんをマサハルさんがかっこよく助けた、とか?」
「逆」
マサハルさんとシズカさんの年の差は五つ。
当然、マサハルさんが社会人としても先輩なのだが、助けたのはシズカさんのようだ。
僕は、驚くよりも、なんとなく納得してしまった。
シズカさんのリードなくして、マサハルさんは普通の生活は送れない。