マサハルさん
 
「ア、アキラ! こ、これでいいか?」


僕は朝から、僕に洋服を選ばせるマサハルさんを見て、ゲンナリしていた。

まさか、昔のホームコメディのようなベタなことを、まさか自分の父親がするとは思ってもみなかった。

いや、意外にベタだからこそ、多くの人の琴線に触れ、多くの人の心に眠る何かに掠るからこそ、ホームコメディとは、暖かな気持ちにさせられるかどうかはこの際どうでもよくて、いざ、目の当たりにすると、本当にイライラとした。


「なあ、なあ、これでいいか? なあ!」

「それ、冬物だよ」

「うおっ!」


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