マサハルさん

ハナはすぐにでも食べたがっていたが、マサハルさんの話によると、一晩冷やさなければならないらしく、キツネ色の液体はハナの届かない冷蔵庫の高い段に置かれた。

キッチンのテーブルを見る。

バター、はちみつ、生クリーム、砂糖、コンデンスミルク。いったい何を作ったのだろうか。


「今日は何を作ったの?」


僕は隣に立つ、バターでギトついた鍋と格闘しているマサハルさんに話しかけた。

マサハルさんは額に髪の毛を数本へ張り付かせながら答える。


「ふふふ……。明日のお楽しみだ!」

「ふうん」

「ん? 教えて欲しいのか?」

「いや、楽しみにしとくよ」

「…………」


僕はそう言いながら、食器乾燥器のタイマーを入れた。

後ろを振り向くと、冷蔵庫のキツネ色の液体をマサハルさんが取り出し、指で押していた。


「マサハルさん、そんなことしてたら、固まらないんじゃない?」

「うおっ!」


 
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