マサハルさん
夕食が終わり、再び二人でシンクに立つ。
乾燥器があるので拭く必要はないのだが、僕の洗った食器をマサハルさんが拭いている。
何か話したいことでもあるのだろうか。
「マサハルさん、何か話でもあるの?」
「お! ……あ、いや、柊さんはどうだったかなってな」
「うん、合格だって」
「……そうか」
「うん」
マサハルさんは、さっきから同じ食器ばかり拭いている。
僕が置く、流しの水切りの食器は溜まっていく。
そして、キツネ色の液体の正体は、夜中に何度もマサハルさんに外に出されたせいか、それとも、煮詰め方が足りなかったのか、キッチンペーパーにべっとりと貼り付き、水飴のようにスプーンで掬って口に運ぶしかない、生キャラメルだった。