マサハルさん
僕は電車の窓越しに流れ行く知らない町の風景を見ている。
知らないビル。
知らない道。
知らない街角。
シズカさんは僕らの知らない街角で、何を思い、何を考え、何をしているのだろうか。
急に低い音と共に車内が暗くなり、認めたくはないが、年齢を重ねるごとにだんだんと似てきたマサハルさん似の僕の顔が窓ガラスに映る。
薄暗い車内の照明のせいで、疲れたように見えるその顔は、柊の手紙のことを話したときのマサハルさんのようだった。