マサハルさん
その日、僕が学校から帰り、夕食の支度をしていた時だった。
今日、マサハルさんは、仕事が早く終わるので、職場からハナを幼稚園へ直接迎えに行き、そのまま買い物に連れて行くことになっていた。
そのマサハルさんからの電話が掛かる。
「どうしたの?」
僕はスーパーの特売だったキムチを手に取り、思わず買ったものの、何の料理に使うか困りながら電話に出た。
「と、とにかく、き、来てくれ!」
「夕食は?」
「い、いいから!」
そう言うと電話は切れた。
僕はため息をつきながら玄関へ行き靴を履く。
そして、キムチのことを考えながら、マサハルさんに何処に来ればいいか聞く為に、電話を掛けた。