マサハルさん
柊はつむじを押さえてしゃがみ込む。
僕はそれを見下ろす形で、今度は頭を撫でる。
普段からこういうマネが出来るわけじゃない。
何と言うか、目の前のつむじを見てると、どうしてもそうしたくなった。
「な、なんすっと!?(何してるの!?)」
「いや、なんとなく」
柊はズレたセルフレームを元に戻し、僕を見上げて睨む。
だけど、僕が頭をヨシヨシし続けているせいで、セルフレームは、また、ズリ落ち始めた。
「ちょっ! ……せんでて言いよろっ!(しないでって言ってるでしょ!)」
その声に、僕は手を離す。
柊は赤い顔をして立ち上がると、僕を睨みながら、自分を掻き抱き、一度だけブルっと身震いした。
僕はその仕草に正気に戻る。
女性に、しかも学校でも人気のあるという女子に、僕は何てことをしたんだろう。
身震いしたということは、それだけ嫌悪感を抱いたということだろうか。
ヤバイ。