マサハルさん
たぶん、じいちゃんは、マサハルさんに対し、情けないという気持ちもあったとは思うが、それを通り越して、不憫だと思ったに違いない。
僕も、嬉々として、何遍も架空の武勇伝を話すマサハルさんを見ていると、当時のじいちゃんの気持ちがわかるような気がする。
「うわあ、すごかあ、アキラのお父さん、カッコよかあ」
何も知らない柊は、何度も何度もマサハルさんを褒めている。
マサハルさんも、鼻の穴を膨らまし、嬉しそうにビールを飲んでいる。
僕はそれを聞くたび、自分が、マサハルさんにとっても、親代わりになってしまったようで、すごく気が滅入った。
ハナはいなりずしの皮の部分だけを食べていた。