マサハルさん

柊とは別れるべきだろう。

だけど、迷っている。

別れることによる苦痛、別れないことによる重圧、僕は、それを天秤にかけていたんだと思う。

どちらが柊にとって、柊の受験にとって、邪魔になるんだろうか、と。



だけど、心のどこかでは気づいている。

その選択が、「柊のため」という僕の理由。

「柊のため」だと言うそれは、僕の心を自分自身で隠すカモフラージュ。

結局、そこに僕はいない。

僕自身の気持ちは介在しない。



柊もそれにはきっと気づいている。

何も言わないのは、僕に判断を委ねているのか、僕自身の決断を待っているのか、それはわからない。

僕と同じように迷っているのかもしれない。

僕が選ぶべき道はどっちなんだろうか。


< 49 / 181 >

この作品をシェア

pagetop