マサハルさん
「アチラ! アチラ!」
僕はその声に、部屋の入り口を見る。
そこには、足を生やしたランドリーボックスが立っていた。
いや、大きなランドリーボックスを抱えた、ハナが立っている。
その大きなカゴが上下に揺れている。
「どうした?」
「せんたく! せんたくものしなきゃ!」
「ああ、そうか!」
僕は、ハナからランドリーボックスを受け取ると、洗濯物が干してあるベランダへ行くために、リビングへと急いだ。
リビングへ着くと、アイロン台に出来上がったズボンを置いて、まるで、書の出来栄えを吟味する書道家のような格好のマサハルさんがいた。
「マサハルさん! 雨だよ! 洗濯物!」
「うおっ!」