マサハルさん
柊の目を見つめる。
いつもの優しい目は、今にも泣き出しそうだった。
その顔にやられた。
僕はこの瞬間に、確実に柊を好きになった。
今までの、曖昧だった気持ちは、もうどこにもない。
僕は身を屈め、柊と同じ姿勢になる。
柊はセルフレームを外し、目を閉じる。
だんだんと近づく柊の顔。
強い雨足は僕らの姿を隠し、僕らの行為にカーテンをするだろう。
僕の顔いっぱいに柊の顔が見える。
近づく柊の唇。
柊の手が動き、何かで僕の目を隠す。
そして、僕は世界で一番愛しく、柔らかいものに触れた。
目の前ではウサギが笑っていた。