マサハルさん
洗濯物を取り込み、それぞれのものに分ける。
マサハルさんは自分の分を、僕は自分の分とハナの分を、タオル類はハナが、それぞれに畳む。
もちろんハナは、まだ上手には畳めない。
シズカさんがいない今、ハナにはひとつでも多く、自分の事が出来るようになってほしい。
それは、僕の、親(?)心だ。
「それで……柊ちゃんは……もう来ないのか?」
マサハルさんは僕の目を見ようとはせず、洗濯物を畳む自分の手を見ながらそう言った。
シャツは畳んで、くるりと纏めてくれと何度も言っているのに、そのまま積み重ねている。
「さあ、どうだろう? 受験って、思ったよりも大変みたいだね」
僕は大きなものから小さなものへ、Tシャツ類からトランクスへと、畳む手を休めずにそう答えた。
僕もマサハルさんの目は見れない。
言葉ではそう言ったものの、僕の心にはまだ何か引っかかっていた。