マサハルさん
「ごめんね……」
「いや……すまんな……」
マサハルさんは、そう言うと、千切り過ぎたレタスに気づいたのか、それを口に運んだ。
シャリシャリと。
「アチラ、アチラ」
ハナがリモコンを持ってキッチンまで来ていた。
たぶん、「トトロ」のDVDが終わったのだろう。
「ここ。このボタン押しな。でも、もうご飯だからね」
僕は再生のボタンを教える。
また、頭から見るのだろう。
これぐらいの歳の子は、一回見たものでも、何度も見ることが出来る。
一日に何度も。
無邪気さ、というのだろうか。
全てのものにフィルターを掛けることなく、真っ直ぐに捉える目。
それが、今回のことで傷つくことを、僕は恐れている。