マサハルさん

「いただきます」


貧相な食事。

「いんちきチャーハン」と手で千切ったレタスだけのサラダ。

三人とも、無言で「トトロ」を見ながら、それを頬張る。

雨は激しさを増し、部屋の中の湿度はさらに上がり、僕らの体にも湿気が、寂しさと共に纏わりついていた。

その時だった。

携帯電話の着信音が聞こえる。

僕の携帯の音。

行く予定の、柊の地元のテーマパークのウサギの音。

約束の証に柊が無理矢理設定した音。

柊の着信を知らせる音。


< 82 / 181 >

この作品をシェア

pagetop