忘れない
「ぅえっくしゅんっ!!」
授業が始まってもくしゃみは止まらなかった。
初めは、面白そうに笑っていたクラスの奴らも、さすがにウザくなってきたらしい。
みんなの冷めた目線がなんだか痛い……。
「っくしゅん!!」
「山口。つらいなら保健室へ行って来い」
授業をしていた教師まで、僕のくしゃみに顔をしかめて追い出し始めた。
「ふぁーい」
あからさまにやる気のない返事をして、僕は教室を出る。
保健室へ向かう廊下を歩きながらも、くしゃみは相変わらず出続けていた。
「へっくしゅっ、ぅえっくしゅんっ、っくしゅんっ!!」
はぁ~
トリプルかよ……。
くしゃみする度になんだか熱も上がっている気がする。
完璧に風邪だ。