忘れない


気がついた時にはベッドの上で、保健室の真っ白な天井が見えた。
苦しい呼吸で上半身を起こすと、保健のおばちゃん先生が傍に来た。

「ばかねぇ、まったく。そんなに熱があるなら休めばよかったのに」

呆れた顔で腕組みをしながら、深い溜息をつかれた。

病人なんだから、もう少し優しい言葉かけてよ。なんて、心の中で僕は文句を言った。
口に出さないのは、呼吸が苦しすぎてしゃべるのがキツイから。
だけど、ひとつだけ確認したいことがある。

「あの……。彼女は……?」

そう。
薬を探してくれた彼女。
体を支えてくれた彼女。
意識を失った僕は、あの後どうなったのか、まったくわからない。

「原さん? 彼女、びっくりしてたわよー。急に気を失っちゃうから。たまたま、体育の森口先生が来たからあなたをベッドへ運んでくれたらしいけど」

そっか……。

「心配して、急いで私を呼びに来たんだから」


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