モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
吸血鬼にとって、
シスター以上の
脅威である
天使の祝福という、力。
吸血鬼の理性と力を奪い、
持ち主の意のままに
操ることのできる力。
それだけは、
朔夜にとって、いや、
例え凍夜であっても、
絶対にかなわない
忌むべき力だ。
しかし、それを
今話して、沙羅を
不安がらせる必要は
ないだろう。
天使の祝福の脅威など
知ることのない沙羅は、
だいぶ安心した
面持ちでソファーに
落ち着いた。
もう一度天明に
お茶を勧められた
沙羅がうなずいたので、
天明はお茶の用意を始める。
黎明が、せっかくだからと
沙羅の髪を梳いてくれるので、
沙羅はおとなしく
ソファーに身を沈めた。