モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

ふと、先ほど朔夜に
貰ったブローチに
視線がとまった。

朔夜の大事にしていた
ものを沙羅が貰ってしまって、
本当にいいのだろうか。

そんな申し訳なさを
感じながらも、
それでも沙羅は
嬉しくてしょうがない。

朔夜にとって、
沙羅は大事な物を
預けてもらえる
特別な存在。

その事実が、
とても嬉しい。

ずっと、このまま、
朔夜の大事な義妹で
いられたらいいのに。

そう考えると、
思わず口もとが緩む。

毎日、一緒にお茶をして、
一緒に出かけて、
姫乃たちの夫婦喧嘩を
呆れながら一緒になだめて。

そうしてたまに、
こういう大事な物をもらって、
さっきみたいに
落ち着かないけれど、
あとからすごく嬉しくなる
あの空気になって…。


そこまで考えて、
沙羅は一瞬思考が止まった。


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