モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
そういえば、さっき。
朔夜は、沙羅の額に。
「あ…え…あれ…?」
「お嬢様?」
沙羅の様子を
不思議に思って
声をかけた黎明は、
すっぱりと思考から
のけられた。
沙羅の頭の中は、
さきほどのプレゼントを
もらう直前の事で
いっぱいになる。
さっき。
朔夜は沙羅の額に、
キスを…。
「っっっ!!」
思い出したとたん、
沙羅の顔は一瞬で
真っ赤になった。
今までにない
朔夜の行動に
全身が熱くなる。
朔夜本人がいないのに、
沙羅の心臓は
どんどん速くなっていく。
しかも、速くなる
だけじゃなく、
ぎゅうぎゅうと
しめつけてくる。
「お嬢様?」
呼びかける黎明の
腕をすり抜け、
ソファーにうつぶせた
沙羅はそばにあった
クッションを
引き寄せて、
その下にすっぽりと
頭を隠した。