モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
義兄としての親愛の
情だとちゃんと
理解しているのに。
どうしても、そのことを
思い出しただけで
どきどきして
苦しいような
嬉しいような
不思議な気持ちに
なってしまう。
クッションの下で、
真っ赤になった頬を
両手でぎゅっと
おさえこむ。
「…。」
しばらくそうして、
どうにか顔のほてりと
赤みが引いてきて、
沙羅は、極力、
さきほどの朔夜の事は
考えないように
しようと決めた。