モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

結界が破れるときには、
必ず中身である
凍夜と朔夜に何らかの
形で衝撃が伝わる。

なのに、今回は、
突如として、
何の前触れもなく、
殻が消えた。

だから、今の状況が
釈然とせず、
沙羅の前だというのに
不安を煽るような
言動をとってしまった。

「まったく…。」

普通に破られた
ぐらいなら、
いくらでもさりげなく
部屋から抜け出して、
気付かれないうちに
片づけて戻ることが
できたというのに。

最近の朔夜にとって
何より楽しみな
義妹との時間を
邪魔されたのが、
腹立たしい。


「…。」



…少し、調子に
乗りすぎただろうか。


先ほどの沙羅との
時間を思いかえして、
朔夜はちょっとばかり
自分の行動を反省した。

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