モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

「…僕の血は
そんなに不味い?」

凍夜が少しムッとした
様子で尋ねると、
姫乃の表情が
僅かに困惑に
変わった。

「…あなたの
血だからどうこうって
話じゃないって、
前にいった
じゃないの。」

ようやく、いくぶんか
彼女らしい反応が
返ってきたことに
密かに安堵した凍夜は、
そばに控えていた
東雲に姫乃を任せると
視線を送り、
彼女が軽く
食べられる物を
用意するために
部屋をでた。

そのまままっすぐ、
厨房ではなく
大広間へ向かう。

大広間に入れば、
姉を心配して滅入る沙羅と、
そんな沙羅をあやす
朔夜の姿が見えた。

< 121 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop