モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「キミが力づくで
やって開かないものを
僕にどうしろと
いうのです。」
扉への攻撃は、
凍夜がすでに
さんざんした後だし、
朔夜は朔夜で鍵を
どうにかできないかと
いろいろいじりもしたが、
すべて無駄に終わった。
「そんなことより…。」
「あの、お義兄さま、
お姉さまは…?」
凍夜の性格上、
先に報告を済ませて
からの方がいいと
朔夜に言い含められて
いたのだろう沙羅が、
しびれを切らして
凍夜に尋ねた。
「…。だいぶ
落ち着いたよ。
朔、なにか簡単に
食べられるもの。」
「あいにくと、
僕はキミの使用人では
ないのですがね。
黎明、沙羅と一緒に
姫乃のところへ
食事を持っていきなさい。」
朔夜の命令に迅速に
従う黎明が沙羅を
連れて出ていくのを、
凍夜が不機嫌そうに
睨みつけた。