モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「…朔。」
「なんです?」
「キミ、今日も
ヘルブストに…。」
「行きますが、なにか?」
「さっき、入用のものは
ないかと言ったね。」
「言いましたね。」
「ひとつ、あったよ。」
凍夜の言葉に、
朔夜は少し考えてから、
軽く口元を緩めた。
「…。なんでしょう?」
おそらくは、
彼の予想通りだろう
言葉を凍夜は口にする。
「情報だ。」
姫乃と、モントリヒト城と、
その本来の所有者である
モントリヒト公爵家。
これらのつながりと
謎を解くための、
あらゆる情報。
それが、今一番
凍夜に必要なものだった。