モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

「いらないよ。今日は
営業しない日なんだ。
女王陛下の喪に
服してんのに、
稼ぐなんてバチが
当たる。」

朔夜がメリッサを
買いに来るのは
いつも営業時間に
なる前の明るい時間だ。

本当なら、今日の
営業はまだ始まって
いないのだからと、
店の女主人は
頑なに代金を
受け取ろうとしない。

少し困った朔夜が
メリッサを見れば、
彼女は肩をすくめた。

「あたしも、シプレが
そういうんじゃ
受け取れないかなぁ。」

「…わかりました。
では、後で何か
埋め合わせをさせて
もらいます。」

「うふ。あ、じゃあ、
あたし隣国の美味しい
ものがいいなぁ。
こないだ行商が来たときに
ギョカイルイっていうの
食べたんだけど、
あれ美味しかったわぁ。」

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