モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

「ええ。それは知ってます。
実は、生前の
モントリヒト公爵と
僕の父親は
交流がありまして。
僕が小さい頃、
モルゲンロートの
屋敷を訪れたときに、
いずれモントリヒトにもと
招いて頂いたのですが…。」

シプレが、胡散臭いものを
見るような目で、
朔夜を見つめる。

そんな視線を、
朔夜は得意の笑顔で
受け流した。



嘘は、言っていないのだ。

確かに、朔夜の記憶では、
幼い頃、父の友人である
モントリヒト公に
会っているし
是非遊びにおいでと
招かれた覚えもある。

ただしそれは、シプレの
仕えたモントリヒト公爵、
ファノラム・フェルノフォート卿
ではなく、その200年ぐらい
前の先祖にあたる
ウィスクム・フェルノフォート卿
なのだが。

< 134 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop