モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「…何をです?」
「この街で、公爵家に
関する詮索は
しないことだね。」
「ほう?何故。」
「過剰な詮索は
怪しまれる。
常連の上客だから、
忠告してやってんだ。
この街の古い人間は、
みんな公爵様に
世話になっててね。
…みんな、公爵家の
味方だよ。
だから、公爵様を
殺した奴を許さない。
公爵家に関して、
やたらと知ろうとする奴は、
公爵様を殺した奴に
関係があるかも
しれないと街の
連中は考えてる。
十年以上経った
今でもね。
あたしも、だいぶ
しゃべりすぎたが、
これ以上は何も
言う気はないよ。」
「…んんー?シプレぇ?
公爵様って、
病で亡くなったんじゃ
なかったのぉ?」
だまって二人の話を
聞いていたメリッサが
間に入って首をひねった。
朔夜も、そう、聞いている。
しかし、シプレは
渋い顔で、言った。
「いいや。毒を盛られて、
殺されたのさ。
…吸血鬼に、ね。」