モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「あのね、お姉さま。」
それでも、僅かに
残った不安の欠片が
うずいて、つい、
声をかける。
「なぁに?」
穏やかに答える
姫乃に安心する一方で、
一昨日の見たことも
ないほど取り乱した
姉の姿が脳裏を
駆け巡った。
聞きたいことが
たくさんある。
姫乃なら…姫乃だけが、
沙羅の不安をすべてを
取り払うことができる。
だけど。
沙羅がききたいことは、
姉を再び苦しめて
しまうのでは
ないだろうか。
そんな考えが頭の中を
よぎって、怖くなった
沙羅は慌てて
話題を変えた。